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衛星データビジネス公開マッチングを開催しました(イベントレポート)

最終更新日:2026年03月30日

開催報告

九州経済産業局と一般財団法人九州オープンイノベーションセンター(KOIC)、九州航空宇宙開発推進協議会は、令和8年2月19日、福岡市において「衛星データビジネス公開マッチング」)を開催しました。
本事業は自治体での事務の効率化・省力化の有効な解決手段の一つとして考えられている衛星データの利活用の促進することを目的として開催し、現地69名、オンライン101名、合計170名の自治体や支援機関、データ活用サービス事業者等の皆様方にご参加いただきました。
事務省力化等の解決ニーズを有する自治体の発表後、衛星データツールを有する事業者の課題に対する具体的な解決策の提案とマッチングに至るプロセスなどを発表いただきました。
ネットワーキングにおいても多くの参加者に参加頂き、自治体と事業者との打合せはもちろんのこと、自治体間、事業者間と様々な参加者同士、会場内外で具体的な打合せが始まる等、熱のこもった交流が行われていました。

日時 2026年2月19日(木曜日)13時15分~18時30分
場所 Garraway F(福岡市中央区天神2-10-3 VIORO 7F)
主催 一般財団法人九州オープンイノベーションセンター(KOIC)、九州経済産業局、
九州航空宇宙開発推進協議会
参加者 170名(会場 69名 オンライン 101名)
プログラム
  1. 挨拶
  2. 衛星データの利活用について
  3. 活用事例紹介
  4. ニーズ紹介
  5. 事例提案
  6. 講評
  7. ネットワーキング

イベント概要報告(PDF:930KB)PDFファイル

イベント登壇自治体・事業者一覧

【ニーズ紹介自治体】 【事例提案事業者】 【事例紹介】 【講評】

イベントレポート

九州経済産業局と一般財団法人九州オープンイノベーションセンター(KOIC)、九州航空宇宙開発推進協議会は、令和8年2月19日、福岡市において「衛星データビジネス公開マッチング」)を開催しました。
本イベントは、導入部分で基礎的な衛星の技術動向や利用の範囲、具体的な事例を交えた導入部分を設け、これから衛星データの利活用を検討している自治体等、現時点では衛星のそれほど知識を有していない参加者でも、自治体ニーズの内容や事業者からの提案内容について十分が理解を深めやすいような流れで構成しました。

衛星データ活用について(事例紹介) → 自治体ニーズ → 事業者提案 → 講評

自治体のニーズは、解決すべき内容としてはそれぞれ異なりますが、まずやるべきこととしては「衛星データを“自治体現場の業務”としてどう使える形にするか」という問答が一貫して流れていました。

本ページでは当日の内容をイベントレポートとしてまとめて掲載します。
最後に当日の資料を掲載していますので合わせてご覧ください。

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開会挨拶は主催である一般財団法人九州オープンイノベーションセンター 今﨑 正明 専務が行いました。

1. 衛星データ活用について(衛星データの種類や活用事例等の紹介)

1-1. 熊本大学・波多先生:衛星データの概要

波多先生は、光学衛星とSAR(合成開口レーダー)の違い、解像度や時系列の考え方、データが利用者に届くまでの流れ(取得→受信→処理→サービス化→利用)について、自治体実務の視点に立った整理が示されました。
衛星データの強みは「広域を安全に、定期的に見られる」ことにあり、利用者側は「すべてを理解する」よりも「欲しい情報を明確にして提供側に伝える」ことが連携の近道だ、というお話をいただきました。

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1-2. RESTEC(一般財団法人リモート・センシング技術センター)奥村様:全国の事例紹介

RESTECの奥村様からは、行政分野で衛星データが使われる場面が幅広く紹介されました。ポイントとして示されたのは、衛星の得意領域が「広域の概要を定期的に把握し、優先順位を付ける」ことにある点です。詳細確認はドローンや現地調査など別手段と組み合わせるのが基本であり、「衛星だけで完結しない」という前提が丁寧に共有されました。
また導入の進め方として「知る・聞く・体験する」という段取りが示され、特に“体験(実証)”の価値が強調されました。導入の入口(実証・補助)だけでなく、継続運用(ランニング)まで見通すことが重要である、という問題意識も提起され、自治体による衛星データ利活用のポイントが整理されました。

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1-3. 株式会社デジオン・渡辺様:先行する実証事例紹介(衛星画像の超解像化を活用した
農地調査支援における飯塚市実証事例のご紹介)

デジオン渡辺様からは、福岡県の事業で飯塚市で行った実証実験の様子を説明いただきました。
AIを活用し、光学画像の高画質化を行い、飯塚市での農地の現地確認業務に活用したというものでした。飯塚市での実証は、「実際にどれだけ負担が軽くなるのか」を具体的な数字で示され、実際に活用した飯塚市からのコメントも発表されました。

  • 作業時間:5500分 → 820分(81%削減)
  • 心理的負担(NASA-TLX):70 → 33(52%軽減)
  • 衛星解析により、現地調査の57.6%が省略可能
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現地調査員へのヒアリング、現地同行、プロトタイプ反復など、現場のフィードバックを前提にUI/UXを磨き込んだ過程が紹介されました。実証が単なる検証で終わらず、製品開発につながるのは、自治体側の協力と事業者側の現場理解が両輪になっているからだ、というメッセージが伝わってきました。
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2. 自治体のニーズ・困りごとの共有

公開しているニーズシート等をもとに、各自治体が現場の困りごとを具体的に提示し、参加者全体で課題感を共有しました。
→参考リンク:ニーズシート外部リンク

2-1. 北九州市(産業廃棄物対策課):金属スクラップヤード監視業務

北九州市産業廃棄物対策課からは、金属スクラップヤードの監視という全国的にも共通する課題が提示されました。
「火災や環境リスクが指摘される一方、新規参入も多く、現地巡回や通報だけでは把握に限界がある。衛星で広域を俯瞰し、変化を捉えることで抜け漏れを減らしたい。」という方向性が共有されました。

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2-2. 南小国町(農林課):森林・山林管理業務

南小国町農林課からは、森林率の高さと担い手不足という現実を踏まえ、資源量把握や災害リスク、道づくりまで含めた“デジタル基盤”を整備していきたいというニーズが発表されました。
源流域として森林管理が下流域の防災にもつながる、という意識が強く感じられました。長い管理サイクルを持つ森林に対して、時系列で更新できる情報をどう作るか、という問題意識が示されました。

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2-3. 種子島スマート農業推進協議会:さとうきび一筆調査

種子島スマート農業推進協議会からは、島の基幹作物であるサトウキビ栽培における、圃場の現地調査の負荷について語られました。さとうきびはハーベスターとう機械で収穫をしており、入り口の広さなど機械での収穫が可能な条件を現地で確認する項目が多く、人手・時間・コストがかかっているとのこと。衛星やAIで“行くべき場所”を絞ることへの期待をプレゼンいただきました。

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2-4. 宗像市(農林水産課):農地現地確認業務

※宗像市については九州経済産業局が代理でニーズの発表をしました。

宗像市農林水産課では、経営所得安定対策等交付金に係る農地現地確認業務の省力化が課題として提示されました。主に米の作付状況確認の負荷に加え、申請内容と現物の不一致による再調査、現場で記録した情報の転記など、多面的な業務負担があることが共有されました。
行く前に衛星で確認し、再確認を減らす、という発想が示されました。

2-5. 宗像市(建築課):災害時の被害状況把握業務

※宗像市については九州経済産業局が代理でニーズの発表をしました。

宗像市建築課からは、「降雨災害や土砂災害発生時、通報に基づく現地確認をしているが、山奥などの被害把握が遅れることがある。災害前後の変化を迅速に把握し、県への報告や復旧対応を効率化したい。」というニーズが示されました。
通報のない山間部などは把握が遅れることがあり、災害時初動の難しさが課題です。発災前後の比較で「どこから行くか」を決める必要があり、衛星データで解決できないかという問いかけがありました。

3. 事業者提案

3-1. 国際航業株式会社

国際航業は、宗像市農林水産課が抱える農地パトロールの省力化を提案しました。衛星データとAI解析で圃場の状態を可視化し、現地確認が必要な場所を絞り込みます。その結果をGISデータとして自治体の既存環境に載せ、現地ではタブレット等で記録し、庁舎に戻ってからの転記を減らす。衛星解析を“現場”と“事務”の両方に効かせる導線として説明されました。

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3-2. 株式会社デジオン

宗像市の農林水産課が抱える作物の栽培状況を目視で確認する際の「現地確認の作業負担が重い」「申請と現物の不一致が多い」「再確認・転記がつらい」という課題を分解し、作業のどの部分に衛星解析とアプリを差し込むかを示す構成でした。圃場の状態を衛星解析で事前把握し、不一致の可能性が高いところだけ現地を実施する。現地ではタブレットで記録し、クラウドで一覧・検索でき、CSVで既存システムに繋ぐ、現場と庁舎の往復を短くする“型”として提示されました。飯塚市の実証で作成した優れたUI(使いやすさ、見やすさ)が印象的でした。

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3-3. INSPIRATION PLUS × Synspective

 宗像市建築課の災害被害判定の課題に対し、2社連名での提案が行われました。
INSPIRATION PLUSは、現場でデバイスを用いて情報を入力し、気象・河川水位・衛星データなどの情報を統合し、現場や対策本部が同じ画面で状況を共有できるようにする考え方を提示しました。現地で手を離しにくい局面を想定し、音声入力など省力化の方向性にも触れられました。
Synspectiveは、自社の強みである小型SAR衛星の広域観測提案。災害発生時は広い範囲を迅速に撮像し、浸水・土砂災害・建物被害などの解析結果を2〜3時間以内に届けることができる、という時間軸の強みを明確に示しました。

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3-4. オーシャンソリューションテクノロジー株式会社

この提案は、宗像市建築課の抱える被害判定の課題に対して「衛星で何が見えるか」より前に、「いま現場で何が起きているか」を即時に拾う仕組みをどう作るか、という問題設定から始まりました。災害対応では衛星の広域俯瞰が強みである一方、初動では即時性が求められます。
そこで同社は、衛星データ活用で得た通信技術を軸に地上デバイスで土砂災害や浸水等状況の兆候を拾い、リアルタイムで現地対応につなぐ役割を担うという提案を行いました。山火事や海難など、ほかの領域への応用可能性にも言及がありました。

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3-5. 株式会社オーイーシー

オーイーシーの提案も宗像市建築課のニーズから派生し、固定資産税業務という自治体職員が“毎年必ず発生する大仕事”に、衛星データの変化検知を持ち込むという内容でした。大分県で行ったニーズ調査では、自治体側の悩みは、書類確認や現地調査など時間と人の労力がかかることに加え、最新の航空写真が高コストで更新頻度も限られることから、古い写真で作業せざるを得ないケースがある点です。そこで衛星画像で変化を検知し、差分を地図上に示して「現地調査に行く場所」を先に絞り込むという提案でした。
さらに地番図や評価額など自治体の既存データと結び付け、事前に業務判断に直結させる方針も示されました。事前検証から実装を見据えたロードマップが提示され、現場に合わせて詰めていく姿勢が明確でした。

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3-6. 衛星データサービス企画株式会社(SDS)

SDSは宗像市農林水産課、建築課、北九州市産業廃棄物対策課の3者に対する提案でした。特に防災の現場で最初にぶつかる「誰に頼めばよいか」「どう調達するか」という壁を、受け止める提案でした。日本版災害チャーターの枠組みを使い、災害発生時に最適な衛星を選定し、データ取得・解析・提供までを迅速に回す。自治体が迷わないための“窓口”になるという立ち位置が明確でした。
運用としては、WebGISでの閲覧、比較表示、属性情報の確認、報告書作成機能など、自治体実務に寄せた機能が説明されました。
ほかにも固定資産や農地やヤードの確認での活用など全庁的な利用も期待されました。

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3-7. 株式会社キャンデラ・プロジェクト

 キャンデラ・プロジェクトは、すべてのニーズに提案を行いました。
衛星で絞り込んだ後に残る“現地確認”をどう省力化するかを、GNSS測量デバイスのPANSURパンサーとドローン点群測量、遠隔支援で具体化しました。
パンサーは測位衛星を使って測量の短時間化を実現したデバイスでした。短時間で測量を行い、それを基準にドローンで撮像するというアイデアを提案されました。ドローンは遠隔操作可能なので自治体でも簡単に使えるという点が魅力でした。
危険地帯に入らず、短時間で座標付き記録を残す。衛星データ活用により「どこを見るか」を決めた後、現地作業の省力化でパンサーとドローンを用いるという提案でした。

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3-8. 山口県産業振興センター

山口県産業振興センターは、自治体と事業者の間に立ち、地元事業者の株式会社ASTRONETS、株式会社ニュージャパンナレッジ、アグリライト研究所のサービスを提案いただきました。それぞれ農地管理や森林の管理、さとうきびの管理においてWEBGISや地上データと衛星解析を組み合わせて、樹種・作物の生育判定や現地作業の効率化に活用するという提案でした。GISや現地ツールと繋がるに現場との橋渡しが要になり、山口県産業振興センターが間に入り地域と地場企業をつなげていくという説明をいただきました。

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3-9. 株式会社アークエッジ・スペース

アークエッジ・スペースは、超小型衛星(10〜20kg級)を軸に、短い開発サイクルで打上げを重ねています。今回は南小国町農林課の森林管理と種子島スマート農業推進協議会のさとうきび圃場現地確認へのニーズに提案がありました。森林管理ではまずは衛星を最低限に活用するミニマムなデータの管理方法を提案、ハイパースペクトル観測等を活用し樹種の判定や、将来のデジタルツインにむけた期待も提案されました。さとうきびの圃場については、現地調査の出戻りをなくすような案内人アプリを提案。毎年調査すべき情報としばらく変わらない情報とを分けることで実際に導入しやすい提案をされました。

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3-10. 株式会社Archeda

Archedaは、南小国町の森林管理について提案。森林管理の長期サイクル(40〜70年)と担当者異動(1〜3年)のギャップを課題として提示し、解析結果を出すだけでなく、クラウド地図・メモ・共同編集といった業務機能を合わせて“引き継げる形”にする「森ノート」を提案。デジタルで情報をつないでいく必要性が強調されました。年間予算の目安や、自治体との実証の話題も含まれています。

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4. 講評(JAXA/三菱UFJリサーチ&コンサルティング)

 今回の講評の要点は、個別テーマの面白さをそれぞれ「良い」で終わらせず、自治体が持ち帰って次の判断や行動につなげられるように整理することにありました。JAXAの倉田様、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの山本様からは、共通して「実証などで入口を作ること以上に、継続運用という出口を形にすることが難しい」という点が改めて示されました。
 その上で倉田様からは、導入初期は補助等も含め着手しやすい一方、恒常的な予算確保や体制整備を自治体単体で担うことには限界があり、実装・横展開まで見据えた設計が重要であることが指摘されました。解決の方向性としては、共同調達・共同利用が有効であり、庁内横断や自治体横断で使うほど費用対効果が高まりやすい点が重要だ、という整理が示されました。
 また、本イベントのように事業者と利用者(自治体)が一堂に会する機会は、単なる情報交換に留めず、事業として成立するところまで視野に入れて継続的につながっていくことが重要である、とのコメントもありました。加えて、事業者同士がつながることでアライアンス化が進み、サービスが磨き込まれていく可能性にも言及がありました。
 続いて、山本様からは、今回の事業で自治体がニーズシートを作成したことにより、ニーズの解像度を高める方法を一定程度「定式化」できた点が良かった、という評価がありました。一方で、個別のデータ活用が実証にとどまってしまう懸念も示され、導入・運用の継続や横展開まで見据えたサービス設計の重要性が示唆されました。
 さらに、他地域や海外にも発展可能性のある視点を持った提案が見られた点にも触れつつ、複数自治体での活用を現実のものにするには、提案数よりもニーズが集まってくる状態が理想であり、ニーズが束ねられるほどコスト面の壁を越えやすい、という整理がありました。
 加えて、今回提出はあったが公開できなかった自治体のニーズもあることを踏まえ、今後はまだ顕在化していない潜在ニーズも想定されるため、自治体の声を集めて束ね、事業化に必要な需要の厚み(ニーズプール)を作っていくことが今後イベントの機能としてさらに重要である、というコメントがありました。

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5. ネットワーキング

今回のマッチングでは自治体のニーズは分野が違っても、共通する構造が見えてきたと感じました。

 今回の公開マッチングでは、衛星データの基礎理解から始まり、全国の事例、実証の数字、自治体の生のニーズ、事業者の具体提案、講評による整理までを一体的に実施することができました。衛星は広域でこそ効く一方、実装を左右するのは運用設計と継続運用の見通しです。
 その前提の上で、自治体・事業者・支援機関が同じテーブルで話したことは有意義で、参加者同士でも商談や現地への訪問のアポイントなど連携につながりそうな声が聞こえ、今後の連携への広がりが期待されます。
ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました。

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6. 資料ダウンロード

【提案資料】 【講評】

お問合せ先

九州経済産業局 地域経済部 製造産業課
担当:亀口
電話:092-482-5442
E-MAIL:bzl-kyusyu-monodukuri@meti.go.jpメールリンク