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平成27年度東アジア、ASEAN地域における九州企業の
経済交流拡大に向けた調査事業結果を公表します

平成28年4月8日
九州経済産業局

九州経済産業局では、平成27年度、中小企業の海外展開の促進を目的に、海外展開に関心のある企業・団体へのアンケート及びヒアリング調査を実施し、調査結果を取りまとめました。

今回の調査では、海外展開の実態把握を行うとともに、1「企業の現場の生声」から見えてきた施策ニーズを明らかにし、2海外展開の中長期的な戦略的取り組みを取りまとめることに加え、3企業が海外展開を行うにあたってヒントとするための「事例に学ぶ海外展開ハンドブック」を九州経済産業局として初めて作成しました。

Ⅰ 調査結果のポイント(別添「調査報告書概要版(PDF:420KB)」を参照)

1 海外展開の状況

  • 展開中と検討中を含めて約6割の企業が何らかの形で海外展開。
  • 展開中の国・地域では、中国が突出し、以下台湾、韓国、アメリカ、タイの順。中国を中心に東アジアが目立ち、ASEANはシンガポールが最多。
  • 一方、今後の展開先として興味のある国・地域・ベトナムが最多、以下タイ、アメリカ、中国、台湾の順。今後の展開先にはASEAN地域が台頭。
  • 展開形態は直接貿易が最多、次に直接投資となっている。今後の展開では、貿易は、直接貿易が最多に変化はないが、間接貿易、業務技術提携の順で、直接投資は下位に下がる。
  • 展開理由としては、新たな市場の開拓が突出しており、次に取引先への随伴が続き、コスト削減のための展開は少ない状況。

アンケート結果のポイント

海外展開の取組状況
展開状況 割合
展開中 46.8%
展開を検討中 11.3%
展開を考えていない 34.6%
展開しているが撤退検討中 0.5%
展開しているが一部撤退済 2.3%
海外展開先
順位 現在の展開対象国・地域 関心のある展開対象国・地域
1位 中国 ベトナム
2位 台湾 タイ
3位 韓国 アメリカ
4位 アメリカ 中国
5位 タイ 台湾
海外展開の形態
順位 現在の展開形態 今後の展開形態
1位 直接貿易 直接貿易
2位 直接投資 間接投資
3位 間接貿易 業務・技術提携
4位 業務・技術提携 直接投資
5位 情報収集拠点 情報収集拠点
海外展開の理由
順位 現在の海外展開の理由 今後の海外展開の理由
1位 海外市場を新たに開拓 海外市場を新たに開拓
2位 取引先の海外展開に追随 国内市場の今後への不安
3位 国内市場の今後への不安 取引先の海外展開に追随
4位 コスト削減 新規事業への着手
5位 新規事業への着手 相手国との橋渡し役の存在

注)海外展開の関心のある企業を中心に実施していることから数字の見方には注意が必要

2 成長するアジアの課題やニーズ、九州のポテンシャルを生かした成長分野

 成長著しい振興国では、中間所得層の人口増加や生活水準の向上に伴い、今後、1環境問題、2農業・食品の需要拡大、3先進国型の個人向けサービスでの市場が拡大することを期待。

3 支援策ニーズ

 アンケート(回答数741通、回収率28.8%)及びヒアリング(50社・機関)結果として見えてきた施策ニーズは、1販路開拓・拡大支援、2相手国の税・会計制度・貿易制度への対応、3相手国の市場や販路に関する情報、現地パートナー確保、文化・商習慣への対応、4高度な海外人材の確保等。

 また、今回は海外展開の興味はあるものの、現時点では海外展開を検討していない企業へもアンケートを実施しており、1海外展開をするためのノウハウ・資金がない、2自社製品・サービスが海外展開向きでないという声が聞かれているが、裏を返せば、対象国向けの商品化(サービス含む)を支援することで可能性も広がると考えられる。

4 6つの戦略的取り組み

 今般の文献調査やアンケート調査、ヒアリング調査の結果を踏まえ、今後の九州企業における中長期的な海外展開支援に向けた戦略を以下の6本の柱として取り組んでいく。

(1)海外への情報発信力を強化し、九州や企業の認知度を向上

  • オール九州としての英語や多言語化による情報発信
  • ミラサポやJ-Goodtech(Webマッチング)活用推進
  • 中小企業のHPのローカライズ化の支援。

(2)海外展開のステージに応じたシームレスな支援体制の構築

  • 当局、中小企業基盤整備機構九州、JETROと一体となったステージに応じたシームレスな支援体制の構築
  • 専門家(INPIT、中小企業基盤整備機構、JETRO等)を活用した支援。

(3)MOU等による交流環境の整備と交流機会の提供

  • 質の高いコミュニティとの交流機会の提供
  • 「オール九州」としてのミッション団派遣や商談会の実施。
  • プロジェクトベースでの有望案件支援

(4)留学生など海外人材を活用した海外展開の加速

  • SNSを活用したマッチングを支援
  • 制度、手続き、活用事例の普及による側面的支援

(5)新興国の潜在的なニーズを顕在化させる取り組み

  • NEDOやJICA等の実証事業を活用し、振興国の課題解決や潜在的なニーズを具現化することで、市場を創出。

(6)成功事例や支援策活用事例の普及による成功モデルの輩出

  • 支援策の活用方法の普及促進を行うための事例集の作成

Ⅱ 事例に学ぶ海外展開ハンドブック

 今回実施した調査により、海外展開を実施している企業が直面している課題の多くは1情報収集、2マーケティング、3人材育成・確保、4貿易・物流、⑤知財、⑥投資・資金回収、⑦事業体制に分類出来ることが判明。

 このため、これらの課題に対して先行企業の体験談や専門家のコメントによる問題解決のヒントを「入門編」と「ステップ編」に分けて掲載した「事例に学ぶ海外展開ハンドブック」を作成。

【対応策の例】

マクロデータに踊らされない自社製品・サービスの分析

 とんこつラーメン店が、ムスリムが人口の大半を占める国へ進出。一見すると、ハラルでない商品では商売にならない国において、とんこつラーメンを売って事業を成功させている。

 同社は、「その国の富裕層は、ムスリム以外の人たちが多くを占めており、彼らにはとんこつラーメンは人気がある」ということを現地調査でつかんでおり、富裕層の多い地域に店舗展開することで売上を伸ばしている。

ノウハウを持つ外部人材を活用

 フランス語圏での契約交渉に関しては、フランス語ができ、交渉能力もある商社OBの人材に顧問契約の形で委ねている。自社の社員として採用するだけの仕事量がないため顧問料+契約に応じた報酬を支払っており、商社OBの人材も他の業務も並行して行うことができるので双方にとってメリットが生じている。

報告書

本発表資料のお問い合わせ先
九州経済産業局 国際部 国際化調整企画官 植木、国際課長 松谷
担当者:烏山、仁田、中島
電話:092−482−5423